幸せな結末
「ほかの誰かに気持ちが移るわけないだろ。俺がどれだけ理恵を好きか知ってんだろ?」
「・・・」
理恵が涙を流しながら朝陽を見る。その目は昔から変わらない。嘘のないまっすぐな瞳だった。
「でも、電話に女の人出た。」
理恵は泣きながら朝陽に言う。ずっと聞きたくても口にすることが怖くて言えずにいた。でも、ずっと聞きたかったことだ。
「女の人?」
「多分外科の人。私が病院に運ばれたときに朝陽の携帯持ってきた・・・。」
朝陽は少し考えてから「あぁっ!」と何かを思いついたようだった。
「高沢のこと?」
理恵が小さく頷くと朝陽は声を出して笑った。
そんな朝陽をじっと理恵が見ると朝陽は笑いをこらえながら理恵を見た。
「あいつにとって俺は恋愛対象じゃない。」
「わからないじゃない」
「いや、絶対にないんだよ。俺は、つまり、男は対象じゃないってこと。」
「へ?」
間抜けな声を出している理恵に朝陽は再び笑った。
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