幸せな結末
「朝陽のこと大好きな気持ちは今も昔も変わらない。でもいつの間にか私は朝陽が隣にいてくれることが当たり前だって思ってた。だから、気持ちを言葉にすることもせず、朝陽とちゃんと目を合わせて話すことも、おろそかにしてた。」
「それは俺も同じだよ。」
理恵が朝陽を見て首を横に振る。
「朝陽はちゃんと私と向き合おうとしてくれてた。なのに私が仕事ばっかりで、自分の体調管理もおろそかにして・・・結局朝陽に迷惑かける結果になった・・・。」
理恵は再び正面を見て話しを始めた。
「私、朝陽が好きだからこそ、ちゃんと奥さんらしいことできない自分がいやだった。」
「何言ってんだよ。理恵はちゃんと奥さんしてくれてただろ?忙しいなりにも俺がいつでも食べられるようにって冷蔵庫にはいつも料理が作ってあった。洗濯物だって掃除だって理恵がいつもやってくれてただろ?俺もそれを当たり前のことだっていつの間にか思ってたんだって、理恵の病気が分かって、気づけたんだ。」
朝陽が理恵の手を握った。その手の冷たさに朝陽は理恵の両手をさする。
「私、ちゃんと朝陽に奥さんらしいことできなくて・・・ほかの誰かに朝陽の気持ちが移ることが怖かった。」
正直な気持ちを理恵は朝陽に伝えることができた。その瞬間再び涙があふれだす。
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