幸せな結末
「そんなに楽しみか?プリン」
二人は理恵の甲状腺の病院受診のたびに約束をしていた。
ホルモンの数値がよかったら病院の帰りに理恵の好きなプリンを買っていいという約束。
妊娠中は何かと食べるものにも気を付けている理恵。今のところ体重管理もしっかりとできている。それでも理恵の大好物のプリンは高たんぱく、高カロリーで朝陽が禁止令を出していた。

「まぁね」
本当は朝陽がしてくれることがうれしくて微笑んだ理恵。恥ずかしくてプリンのせいにした。
「数値、安定してるといいな」
「うん」
朝陽はそのまま助手席に理恵を乗せて後部座席からひざ掛けをとりかける。
「大丈夫か?」
「うん」
そっと助手席のドアを閉めて朝陽が運転席に回る。
「行こうか」
「うん」
どうしても病院の日はまだ緊張する。妊娠初期は特に奇跡の妊娠への喜びを味わったのもつかの間。無事に出産までいられるかどうか心配と不安で理恵の心は押しつぶされそうだった。
きっと顔には出さなくても朝陽も同じ気持ちだ。
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