幸せな結末
「ねぇ、朝陽」
「ん?」
「私たちの幸せはあの時の朝陽の言葉がなかったらなかったと思うの。」
「ん?」
理恵が俺を見て再び微笑む。
「『俺たちが夫婦でいる意味はあるか』っていうあの時の言葉が私に気づかせてくれた。」
「理恵、ごめん・・・。」
理恵の頬に触れながら俺が頭を下げると理恵はその頭を撫でた。

「うんん。感謝してるんだって。私。あの時の言葉で大切な気持ちに気づけた。朝陽の大切さも、失いたくないものも分かった。だからね、朝陽。」
話を止めた理恵に俺が顔をあげる。
「もしも、もしもね・・・また大切なことを忘れそうになったらちゃんと言ってね?」
「・・・」
「この幸せは当たり前じゃないって。二人で作ってきて、二人で作っていくものだって。ちゃんと教えてね。」
「・・・わかった」
俺はソファに横になる理恵をそっと抱きしめた。
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