嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
Ⅱ嵐の前の狼くん
なんだかんだありましたが、ミスコンのポスター用の写真は無事決まった。


残すところは、当日のドレスだ。


わたしは今日の放課後に赤星くんのお宅にお邪魔し、ドレスコーディネーターの方に選んでいただくことになっている。


ミスコンに出場する人全員でいくのだけれど、その移動がなんと...


リムジン!


赤星くんのお父様はIT企業の社長。


お母様は元パリコレモデルで、現在はドレスデザイナーとしてブランドを立ち上げている。


赤星くんは、わたしの想像の遥か上をいく、超超超お坊っちゃま。


星名湖杜の人生史上最初で最高の大富豪だ。


リムジンが到着するやいなや、わたしはスマホを取り出し、パシャリと1枚写真を撮った。



「ことちゃん、すっごく嬉しそうね」



隣にいた畠山さんがわたしを見てオホホと笑った。



「まあ、最初は皆驚くよね。でも、これが昴の家では当たり前だから。昴の誕生日には色々な国から社長が来て、英語だけでパーティーやっちゃうんだから」


「はあ...そうなんですか」



ということは...この前のパーティーなんか、さぞかし退屈だっただろう。


生活レベルの低い庶民のパーティーなんか本当は来たくなかったはず。


赤星くんに申し訳ないことをしてしまった。



「あっ!ことちゃん!」



赤星くんが駆け寄ってくる。



「ことちゃんはオレの隣ね。今日はうるさい彼女がいないから、ことちゃんを独り占めしちゃうから。覚悟してね」


「あっ...はあ...」


「昴。あんた、百合野に叱られても知らないからね」


「叱られたってなんだって構いやしないよ。そんなの全然ヘーキだから」


「やれやれ。今日は百合野に言われてるからあたしが見張りやりまーす。ってことで、ことちゃん、よろしく」


「よろしくお願いします」



赤星くんを筆頭にリムジンに乗り込んでいくミスコンメンバー。


初めて全員が顔を合わせたけど...


これでは全く勝ち目がない。


みんな顔は整ってるし、髪はきれいに切り揃えられていたり、巻かれてたりするし、スリーサイズもばっちりそうな人しかいない。


ずんぐりむっくりで時代遅れの髪型に眼鏡姿の女子はわたししかいない。


そんな中で、なぜ、赤星くんがわたしなんかを選んだのか全く分からない。



「ことちゃん、リラックスして。大丈夫、俺がついてるから」



いやいや、それが逆に問題なんです!


とは言えなかった。
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