嵐を呼ぶ噂の学園③ 大嵐が吹き荒れる文化祭にようこそです!編
約30分後。


全員の投票と開票作業が終わった。


オレはもう結果なんてどうでも良かった。


よく分からないが、糸がプツンと切れてしまったようでオレはただステージの上でボーッとしていた。


昨日行ったお化け屋敷のお化けたちに魂を乗っ取られてしまったのか。


ああ、なら、断固拒否すりゃ良かったな。



「波琉くん、大丈夫?顔色悪いよ」


「そういうあんたも、いつもの何百倍も元気ねえけど」


「まあね。大事な人があんな状態だからね。気が気じゃないよ。君は俺ほどことちゃんを強く想っていないわけだし、そんなに落ち込む必要もないと思うけど」



そうか。


そう、だよな。


オレ、やっぱおかしいんだな。


カノジョでもないのに、こんなに心配してバカみたいだな。


星名には赤星昴という、素晴らしい人間がついているのだから、大丈夫なんだ。


彼に任せておけばいいんだ。


オレが心配することなんて何一つない。


...って、分かってる。


分かってるのに、できない。


アイツを想うと胸が苦しくなる。


オレはいつの日か、アイツに言った。



―――必要な心配はさせてほしい。
...友だちとして。



オレの心配は度が過ぎているように思う。


さっきも咄嗟に動いて、吸い寄せられるようにあそこに足を踏み入れた。


窓ガラスを割るなんて法に触れるようなことをしてこなかった、今までは。


他人のために自分を犠牲にしたことなんてなかった。


オレは...


オレは...


星名を、


星名湖杜を...


どう思っているんだ?


こんなに心配してどうするんだ?
< 92 / 109 >

この作品をシェア

pagetop