「悪」が似合わない君と。
彗side


おいおいおいおい


ふざけんな


目の前でメイド服をまとったトンボが眼鏡を外して、髪を下ろして…

そこにいた


思わず動くことを忘れるくらい…


トンボの姿は目を奪う


もちろん俺だけじゃない


一緒に作業してた連中も口を開いて固まっている


「可愛い…」


誰かがボソッと言った


茶化されて戸惑っているトンボは本当にその言葉が似合う


誰がどう見ても可愛い


でもだから…


「篠瀬って今彼氏いる?」


誰かがそう言った


まあ…そうなるよな


だって…本当に妖精みたいだから


そんな感激とは裏腹にぐつぐつと腹の中で何かが煮えたぎってくるのがわかる


腹立つ


トンボに集まる視線が腹立つ


顔を赤らめている男子に腹が立つ


うっぜぇな


体が動いたのはほぼ無意識だった


トンボの手を引いて教室を出る



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