庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「公開告白って、意外と男だね、君!」

 ひとしきり笑った彩子が、目じりを拭いながら大袈裟な口調で言う。だいたいこんなことになったのは、彩子が煽ったからなのに。本当、昔から傍弱無人なんだから。

「行きましょう、小原さん」

 するとそんな彩子を一瞥した後、景山くんは私のところへ来てそう声をかけた。

「え? 私?」
「食べ終わったんですよね? それに昼休み終わりますよ」

 彩子をちらっと見ると、澄ました顔でひらひらと手を振っている。

「私このまま外回り行くから、おかまいなく」
「あ、うん……わかった」
「お疲れ~」
 

 お店をでるとどっと疲れが襲う。普段お昼休みはオアシスなのに。今日はマグマの中に足を踏み入れたような気分だった。

「あの、俺気が付いたんですけど、小原さんの婚約者の名前って、高宮さんでしたよね? まさかと思いますけど、この前来ていた社長だったり……?」

 隣を歩く景山くんが、口ごもりながら聞いてくる。そっか。この前景山くんは千晃くんと会っていたんだっけ。しかも名前までちゃんと憶えていたんだ。

「実は、そうなの」
「やっぱり。偶然かなとも思いましたけど、よくよく考えたら小原さんのことじっと見ていましたし、小原さんもちょっと動揺してましたよね」

 あの短時間でよく見てるな。景山くんの洞察力に感心してしまう。


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