庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす
「去年あたりかな。森永社長から、三条さんとの縁談を勧められていたのは。だけれど、その度に断っていた。それでも彼らはしつこくて困っていたんだ。そこにタイミングが良いのか悪いのか、椎花が現れた」
千晃くんはグラスの中で揺れるワインをじっと見つめている。その中に映る千晃くんは少し儚げな顔をしていて、思わずぎゅっと唇を噛んだ。
「このタイミングだ、椎花はもしかすると利用されたって思ったかもしれない。三条さんにもそう吹き込まれていたみたいだし。だけれど断じて椎花を、政略結婚の隠れ蓑にしようとしたんじゃない。そんなこと、考えたこともない。椎花は気が付いていなかったかもしれないけれど、俺は椎花のことがずっと昔から好きだった」
ずっと……? 千晃くんが私を?
「再会したときはチャンスだって思った。男としてみてもらおう、好きになってもらおうって必死だった」
自嘲気味の笑みを漏らしながら視線だけ上げる千晃くん。その瞳がやけに妖艶でゾクッとした。そんなどこまでも絵になる彼が、私を想って必死になるなんて今更だけれど信じられない。
「だから今こうやって二人で過ごせることがすごく嬉しいよ」
「私も! すごく嬉しい!」
思わず前のめりになりながら言ってしまったものだから、クスクスと笑われてしまった。
「ずっと俺と一緒にいてほしい」
「もちろんだよ」
それから二人で乾杯をした。千晃くんは始終笑顔で、それを見ているだけで幸せな気持ちでいっぱいだった。