庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


「よーし、桃。綺麗になったよ」

 千晃くんに抱っこされ、桃はキャッキャッとはしゃいでいる。この光景を見ているとつくづく幸せだなーと実感する。

「椎花は準備できた?」
「うん。万端」

 今日から連休ということもあり、初めて三人で帰省することになっている。赤ちゃん連れの飛行機は少し不安だけれど、きっとなんとかなるだろう。

「お義父さん、桃のこと見たら喜ぶだろうな」
「うん、そうだね」

 お母さんに負担はかけられないと思い、出産の時、里帰りはしなかった。退院後も二人で何とか乗り切った。だからお父さんたちが桃に会うのは今回が初めて。よく写真は送っているけれど、きっと会いたいだろうと思い今回決断した。

「桃~、じぃちゃんい会いに行くぞー」
 
 頬ずりをしながら千晃くんが桃を連れ玄関に向かう。すっかり溺愛パパだ。
 
 だけれど私もどちらかと言うとお父さん子だったし、きっと昔は私もあんな風に抱かれて大きくなったんだろうなと思うと、胸が熱くなった。



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