庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす


 元々椎花は可愛い分類。目がくりっとしていて、サラサラの髪が綺麗で、色白。

 それに加え香坂が言うように、妖精のような儚さがある。きっと華奢で、ふんわりとした雰囲気がそうさせているのだろう。

 でも一人っ子の俺にとって椎花は妹みたいなもの。桜太が椎花を可愛いという感情と同じだと思う。

「俺、声かけようかな。何組だろう」
「やめとけよ、あんなの。あいつ泣き虫だし、ゲームだって弱いし、飯食うのも遅いし」

 それにいつも髪から甘ったるい匂いをさせているし、俺のことを上目づかいで見るし。いったい何のつもりだよって、あいつの家に行く度に思っている。本当に勘弁してほしい。

「なんだよ、高宮。知り合いか?」
「ただの友達の妹だよ。ただの」

 強調するように言うと、香坂は「ふーん」と俺を横目で見て、再びグラウンドへと目を向けていた。





 椎花は妹的存在だけれど、誰かに色眼鏡で見られるのはなんだか胸の奥がもやもやする。

 桜太がよく「椎花が彼氏を連れて来たら俺泣くかも」と言っているけれど、まさにそれと同じなのかもしれない。帰り道、ふと考えた。

 自転車を少し走らせたところで、歩道の隅で小さく丸まる様に座り込む人影が見えた。やや警戒しながら近づいていくと、それが椎花だとわかった。


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