庇護欲を煽られた社長は、ウブな幼馴染を甘く攻め堕とす

「その分、これからは椎花に優しくするよ。とことん甘やかしてあげる」
「でもあの時のことはチャラにできないからね」

 口を尖らせ、せめてもの仕返しとばかりに下から睨む。そんな私を見て千晃くんは楽しげに笑っていた。

「よし、食べ終わったら結婚式の招待状、さくっと書いてしまおう」

 ぐっと伸びをしながら千晃くんが張り切った様子で口を開く。

 よく雑誌などで男の人は結婚式の準備をなかなか手伝ってくれないという記事を見る。だけど千晃くんは忙しいのに率先してやってくれて、色んなことがあっという間に決まって進んでいく。どこまでも頼れる人だ。

「うん、じゃあここ片付けちゃうね」
「俺も手伝うよ」

 自然とそう口にする千晃くんは、本当に素敵な旦那さんになるだろう。

 こんな極上な旦那さんを私が独占していいものなのか。私にはもったいなさすぎて、いつかばちがあたるんじゃないかって、幸せの中にいるはずのに、そんな悪い想像を無意識のうちにしてしまっていた。

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