優等生の恋愛事情
ドキドキしていた、とても。

緊張しすぎて、手のひらの熱でパピコが一気にとけちゃいそう。


「僕は溝口さんの恋愛対象になれないかな?」


こんなことって、三谷くんが私のことを特別だって、恋愛の……好きって。


「私ね……」

「うん?」

「本当はクラス会なんて来る気なかったの」


頭の中がぐちゃぐちゃで、自分の気持ちをどう言い表したらいいかわからなくて。

私は少しずつどうにかこうにか言葉を紡ごうとした。

そして、三谷くんはそれを丁寧にすくうように聞いてくれた。


「僕もロクちゃんから溝口さんが来るって聞いたときは、ちょっと意外だったよ。もちろん、すごく嬉しかったんだけど。けど……じゃあ、どうして?」

「だってね、高崎君が……」

「高崎?」

「ああっ……それは……んー、でも三谷くんならいいよね、うん……」

「聞いても大丈夫?」

「うん。あのね――」


私がクラス会に来るに至った経緯を話すと、三谷くんは「なんだよ、高崎の奴……」と、呆れて大きなため息をついた。


「私、クラス会なんて本当に嫌だったの。でもね、三谷くんに会えるなら行ってもいいかなって思えたから。三谷くんと話せるかもって思ったら、高崎君に協力してあげてもいいかなって。そう、思って……」


(本当、どう言ったらいいのだろう?) 

 
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