Fairy
…びっくりした。

銀色の髪の男性は少しだけ声を低くして、振り向かずにそう言った。私のこと、見てないはずなのに…どうして分かったんだろう。




『 ね、だから言ったでしょ? 』

『 へ〜、本当に殺さなかったんだ。いいの? 』




白髪の彼はバスタオルを手に取って、髪をワシャワシャと拭いている。
もう一つのバスタオルが私に投げられたと思ったら、銀色の髪の彼はそんなことを言った。


…やっぱり、見られたら殺すんだ。

その言葉に少し恐怖を感じながらも、私は受け取ったバスタオルでそっと髪を拭く。
すると、一度も振り返らなかった銀色の髪の男性が、くるっと振り返った。




『 で、君、名前は?見た感じ年下だけど幾つ?どうして一人でまたこの街に来たの?もしかして、また襲われに来たとか。だとしたら残念だけど、俺、君みたいな純粋な子は…、 』

『 游鬼。 』




振り返ったと思ったら、私が答える隙も与えずに質問攻めしてくる彼。最後の言葉に少し戸惑っていると、白髪の彼がその言葉を止める。

そして、私はようやく声を出すことが出来た。






「 …花咲 紗來です。今朝のニュースを見て、気になってしまって。…家にも帰れなかったので、ここに来ました。 」






私が震える声で全て言い終えると、游鬼と呼ばれた銀髪の彼は『 やっぱり〜。 』と笑う。笑った顔も綺麗だと思ったけど、その笑顔からは少しだけ狂気を感じた。

そして私は、バスタオルをギュッと握って、再び口を開く。




「 あの…あの人達を、殺したのは、 」

『 うん、僕達だよ。 』




そして、笑顔のまま答える白髪の男性。

その言葉を聞いて、私はもう何も言うことが出来なくなってしまった。
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