Fairy
あ、なんだ…。だから無線から狂盛さんの声だけ聞こえなかったし、帰ってきても居なかったんだ。
それに、あれから着慣れないドレスをずっと着ているため、動きにくいから早く脱ぎたい。


時計に目をやると、既に夜中の三時を回っていた。




『 お待たせ。次、入りな。 』

「 はい、ありがとうございます。 」




するとお風呂から上がったのか、白髪を濡らした晴雷さんがリビングに来てそう言った。

私は軽く会釈をしてから、自分の部屋に向かい、部屋着を手に取って、そういえば…と下着を探す。
部屋の隅に見慣れない紙袋があって、中身を覗いてみた。




「 うわ、まじか…。 」




そこにあったのは、赤やピンクなどの見事に派手な柄の下着で。游鬼さんの好みって言われたのを思い出すと、なんとなく納得もできたり。

仕方が無いから、その中でも一番マシな黒い下着を手に取った。


シャワーを終えて脱衣所に出ると、簡単に身体を拭いてから下着を身につける。
すごい、本当にサイズぴったりだ…。なんて、変なところに感心してしまった。

そしてズボンを履いてから結んでいた髪を解いて、タオルで適当に拭いていた…時。




_____ ガチャッ。




いつの間に帰ってきていたのか、脱衣所に入ってきた狂盛さんとバチッと目が合った。

思わず出そうになった声を抑えて、慌ててタオルで上半身を隠す。そんな私に比べて、狂盛さんは『 ? 』と一言も発さずに、興味が無さそうに首を傾げてまたあの作り物の笑顔を浮かべた。


あぁ、心臓に悪い。今思い返せば、交際経験のない私はもちろん、男の人と共同生活をしたこともない。

慣れないことに困りながらも、とりあえず急いで服を着た。
これでもう大丈夫、と思いながら再び髪を拭き始めると、狂盛さんは私を気にしずに服を脱ぎ始めた。
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