TanKa
今まで、話したことはおろか、きっとタケチは僕の名前すら知らなかっただろう。
対する僕はというと、タケチとみんなが言っているので、調子に乗ってそう呼んじゃっていただけだ。

全然、友だちでも知り合いでもない。

168センチ50キロの、スリム通り越して誰の目に見てもわかる痩せ型の僕は、はっきり言って学校のそういう部分に、なじめずにいた。

派手な子を見ては、羨ましいなと思うこともあった。
だけど、僕のキャラじゃあないんだな、これが。

お調子者のくせに気が弱く、眼鏡をかけてガリ勉タイプのわりに、テストは60点台。
地味でマニアっぽい風貌が災いして、クラスの友だちも同じ系統の男子ばかり。

タケチ、という語感をかみ締めるように、僕はいつも他高校に進学した友だちに彼らの話をした。
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