明日は明日の恋をする
「どうぞ。」

私の前に紅茶を置くと、高瀬さんもそのまま私の前に座った。

「…大体の事情はケイスケから聞いてるよ。」

そう言うと高瀬さんは紅茶を飲んだ。

「…そうですか。あっ高瀬さん、今日仕事は?」

「大丈夫。今日は休日出勤した分の代休をもらってるんだ。ケイスケから今日明日香ちゃんが出て行くって聞いてたから引っ越しの手伝いをしようと思ってマンションに行ったんだけど…まさか新居が決まってないとはねぇ。」

「すみません…。」

「まぁ、俺は今から夜まで出かけるから、今日はウチでゆっくりしな?食料も冷蔵庫にあるの勝手に食べていいから。じゃあ留守番よろしく。」

「え?ちょっと高瀬さん…。」

高瀬さんは私の話も聞かずに鍵を持って外に出て行った。

1人になった私…。高瀬さんの事だからわざと私を1人にしてくれたのだろう。

誰もいない静まり返った部屋が心地良い。気がつくと涙が頬を伝って流れている。

「…もう、我慢しなくていいんだ。」

そう思った瞬間、私は声を出して思いっきり泣いた。楽しかった日々を思い出し、頭の中からその記憶を追い出すかのように…思いっきり涙を流した。

今だけ、今だけだから。

明日になったらまた前を向いて笑えるから…。

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