明日は明日の恋をする
進藤さんと別れて30分が経った。私は今どうしているかというと…

「明日香ちゃん、紅茶でいい?」

「は、はい。」

何故か高瀬さんのマンションにいる。

それには理由があった。

ーー 30分前の出来事

進藤さんのマンションを出てエレベーターを降り外へ出る。抑えていた涙が少しずつ溢れてきた。

「泣くのはまだ後にしなきゃ。」

涙を拭き前を向くと、私に残された問題をどうしようか考える事にした。

「明日香ちゃん。」

名前を呼ばれて振り向くと、そこには手をひらひらさせてる高瀬さんがいた。

「高瀬…さん?」

私は驚きを隠せず、目を丸くさせる。何故高瀬さんがここにいるのだろう?

「何で俺がここにいるのかって思ってるでしょ?まぁ取り敢えず車に乗ろうか。新居まで送って行くよ。」

「い、いえ。送ってもらわなくても大丈夫です。」

「遠慮しなくていいって。早くしないとケイスケが仕事に行く時間になってマンションから出てくるよ。」

高瀬さんは私の荷物を持ち、久しぶりに意地悪そうな笑みを浮かべた。確かにそろそろ進藤さんの出勤時間だ。さっき笑顔で別れたばかりなのに、ここで再会するのも気不味い。私は早くこの場から離れようと高瀬さんの車に乗る事にした。

「じゃあ車走らせるよ。何処に向かって運転したらいい?」

「…。」

「明日香ちゃん?」

「えっと…もうその辺の公園でいいです。」

「…何か変だな。もしかしてまだ新居決まってないんじゃ?」

私はギクッとする。まさにその通りだからだ。新居も決まってなければ仕事も決まってない。私が抱える問題はそれだった。

「…マジ?冗談のつもりで言ったのに。」

高瀬さんの驚いた表情を見て、私は観念して高瀬さんに打ち明けた。

「実はそうなんです。頑張って新居も探したんですけど…どこも家賃高いんだもん。都会って何でこんなに高いんですか!?」

「何でって言われても…。」

「でもまずは仕事を探さなきゃ始まらないし、色々正社員の仕事を探してるんですけど…難航しちゃって。そうこうしているうちに時間だけが無駄に過ぎて…今に至ります。」

「なるほどね〜。じゃあひとまず俺のマンションに行こう。」

そして高瀬さんのマンションへ行き、紅茶を入れてもらっていたところだ。
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