Forever City.
『 ようこそ、Forever Cityへ。 』





…冷たい。

まるで水の中に居るような感覚に、眉がピクリと痙攣する。
重たい瞼は開いてはくれなくて、ただ、ぼんやりとした脳だけが微かに動き始めていた。


私は一体、今まで何処で何をしていたのか。
ここはどこなのか、どうしてこんなに意識がぼんやりしているのか。

そんなことを考えていると、小さな雫の音が、そっと私の心を落ち着かせてくれる。







_____ コツン、コツン。







その雫の音を心地よく聞いていると、何処からか人の足音が聞こえてきた。
一歩一歩、その足音がこちらに近づくと同時に、水の跳ねる音が近くなる。やはり、私は今、水の中に居るんだ。

そう確信すると、ここが何処なのか。自分が誰なのか、目の前に居るのは誰なのか。そんなことが、頭に浮かんだ。
でも瞼は開いてくれなくて、まるで、魔法を掛けられたかのように固く動かなかった。


そして足音が止まった時、背中に大きな手が回され、身体をゆっくりと起こされる。
暖かいそれが瞼を覆ったと思えば、先程まで開かなかった瞼を、簡単に開くことが出来た。




『 こら、あまり強く擦っちゃ駄目だよ。 』




ゆっくりと瞼を開け、光に慣れないまま目を擦ると、頭上からそんなに柔らかい声が聞こえてくる。
思わず体を震わせると、その声の主は『 あぁ、ごめんね。驚かせるつもりは無かったんだ。 』と、優しく笑った。

どうやら、彼が私の身体を支え、瞼を優しく開かせてくれたらしい。



何度か瞬きをすると、目の前には、見たこともないような景色が広がっていて。
どこかの洞窟のようで、大きな岩の隙間から覗く光に反射して、水に濡れた私の身体はキラキラしていた。

そっと目を逸らすと、自分が真っ青な水の中に居るんだ、ということが分かった。
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