ただ好きだから
第5話
火曜日。


夏月のレストランの前にワゴン車が停まった。


人「すげーのどかじゃん」


エ「おぉ、俺の実家と似てる」


7人がゾロゾロと降りてくる。


臣は農場の方を見渡して夏月を探す。


夏月の方が先に気づき大きく手を振った。


夏「臣く〜ん」


夏月は車のそばまで走って来た。


夏「思ったより、早かったね」


臣「うん、道すいてたし…」


人「臣っ、早く紹介しろよ」


直人は小声で、急かす。


臣「あぁ、そっか。えっと、…」


臣が慌てていると、夏月は臣の顔を見て笑う。


夏「自己紹介するね」


臣「うん、よろしく」


夏月は、メンバーの方を見た。


今日は夏月も長靴に作業着姿といつもと変わらない笑顔。


夏「はじめまして、夏月です。今日はこんなところまで来て下さってありがとうございます」

隆「なっちゃん」


隆二がニコリと笑って、小さく手を振った。


夏「あ、隆二さん。この前はありがとうございました」


健「隆二だけ、なんかずるいな」


隆「健ちゃんも今日会えたからいいじゃん」


健「まぁ、そうやけど」


隣にいた岩田が小声で、健二郎に話し掛ける。


岩「健二郎さん、臣さんの彼女なのにやきもち焼くのおかしいでしょ」


健「そうなんやけど、あの笑顔で話しかけられてみ、臣やなくても運命と思うで」

二人がコソコソ話している後ろにいた直己。


己「よしっ、じゃがいも掘りに行くか」


会話を遮るように、二人の背中をポンと叩いた。
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