寡黙なダーリンの秘めた愛情

黒幕2登場

「美咲ちゃん」

朝の8時30分。朝食が運ばれてくるタイミングで美咲の入院している部屋を訪れたのは、再従兄弟の八雲義一だった。

「義一さん、どうしてここに?」

昨日の政義の話では、義一は蓮に虐げられている美咲をお腹の子供ごと八雲家に引き取ってもよいと考えている、と言っていた。

美咲が高校生の頃から、親戚の集まりで顔を合わせる度に義一は

『美咲はいつ見ても可愛いなー。曾祖父さん、美咲の旦那を城之内副社長の次の社長にするって言ってたんだけど俺なんか将来の夫にどうかな?』

『美咲にふさわしいのは俺だけだぞ?』

などと、本心かどうかわからない調子でからかってきたものだ。

しかし、その度に、過保護な蓮と美鈴に阻まれ、悔しそうにしていた。

あれは単に、再従兄弟同志のじゃれあいだと思っていたのだが、義一は本気だったのだろうか?

美咲があれこれと思いを巡らせていると、

「ああ、゛家族゛だって言ったらすんなりいれてくれたよ」

再従兄弟を゛家族゛だと認識するのが当たり前なら、この病院のセキュリティシステムは問題があるなと思ったが、美咲はベッド上安静を強いられている状況だ。

逃げられないこの状況で、義一を刺激するのは不味い、と美咲は掛け布団の中で、ナースコールを握りしめた。
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