溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
誕生日(亮side)
最近は外来診察よりもオペの方が多くなっている。
おかげで、準備からアフターフォロー、突然の対応が多くて
以前の日常のバランスが崩れつつある。
オペが増えたので当直は少なくなったが病院にいる時間は長い。
兄貴が医師を増員したが、アメリカ帰りの脳外科のホープとして
少し前に医療雑誌に掲載されて以来、診療希望者が増えているのだ。

多くの患者さんを見ることは経験を積むことになる。
それで患者さんが元気になって日常生活が少しでも改善されて幸せそうに
している姿を見るのはこの仕事の醍醐味だ。
時間をかけ、慎重になるのは当然で…。
最近のオレは余裕がなかったのも事実だ。

玲奈との関係も同じ職業で理解してもらえると少し安心していたのかもしれない。
メールや電話では連絡を取り合っていたが、3日に1回あっていたのに、
ここ一か月は週に1回程になっていた。

彼女は彼女で地域医療も楽しくやっていっているようだし、華道の仕事や
展覧会、パーティーなど充実しているようだった。
彼女の母親も随分回復して、娘と出かけたりと、離れて暮らしていた寂しさを
取り戻すように楽しんでいるそうだ。
近場で温泉へいったり、歴史散策をしたりしているらしい。


だから、安心してたんだ。
大人の彼女なら、仕事を理解して、俺の側にいて、会えない時間も近くにいる存在だと。
まさか、後から
悔やむことになるなんて。

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