あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「なぁ、杏」

圭吾の呼び掛けにカップに落とした視線を彼に戻すと、その端整な顔の口角をあげて私を見つめ

「なんで俺たちが杏と毎月デートしてたか知ってたか?」

と意味深に笑う。

「えっ?」
私はたんに三人に溺愛されているせいだとずっと思い、深くその理由なんて気にしたことすらない。

大好きな三人との代わる代わるのデートはとっても楽しかったし、恋人を必要だと思わなかった原因は、そのあたりにもしかしたらあるのかもしれない。

小さく首を左右にふると内緒だぞとわざわざ圭吾は声を潜めて話だした。
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