あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「杏、結婚しよう。」

優しく笑う颯馬の顔が涙で滲む。

無言で首をふり続ける私の左手を取ると、箱から取り出した指輪をそっと私の指にはめた。

「杏、俺のこと好きだろ?」

首を左右にふる。

「俺と結婚するだろ?」

もう一度首をふる。

「…俺は杏のこと大好きだよ。

愛してる…

結婚したい、杏と…。

嫌だって言ってももう絶対に離さない。」

「…み、お、、さんは…?」

どうにか絞り出した声を聞き取った颯馬が

「ごめん、杏。
苦しめてごめん。美桜はフランスに帰った。

…中川翔平…知ってるよな?」

颯馬の口から思わぬ名前が飛び出して、私の目が大きく見開かれた。




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