あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
10月吉日。
外は青空が広がる晴天だ。

控え室のドアがノックされると、白いタキシード姿の颯馬が入ってきた。

「ふぅー。危なかった。
夢中になりすぎて遅刻するかと思ったよ。」

「ごめん、こんな大切な日にまで仕事させちゃって」

「しょうがないよ。
俺もこれだけは誰にも作らせたくなかったからさ。」

そっと伸ばした手が、ふわりと私を抱き締める。

「杏、めちゃめちゃ綺麗…。
長かったなぁ。ようやく俺の子供の頃からの夢が叶う。
杏のこと、お嫁さんにするって」

満面の笑みを浮かべ、目を細めて私の顔を覗き込む颯馬に、ふと子供の頃の姿が重なった。

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