あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「…ふられてやけ酒かよ」

ぼそっと呟いた言葉は狭い車内にいる杏の耳にしっかり届き

「違うよ!
そんなんじゃない…」

すぐに反論の声があがった。

「小さい頃からパパや颯馬のお父さんとか隼人おじさん、圭吾、湊さんうちに来るパパの友達ってみんな病院勤務でしょ?」

「あぁ、確かにそうだね」

「 あの病院特有の消毒薬の匂いってあるでしょ。
あれに慣れてるせいかたばこの匂いとから香水とか…どうにも苦手で。

近づかれると気持ち悪くて…。
だったらって医者と付き合ってみたんだけど、、、ダメだった」

ちらりと横目でみた杏は半べそをかいていた。
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