あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「ごめん、仕事の邪魔しちゃって、、、」

店内の奥の厨房ではさらに甘い香りで溢れかえり、勢いで仕事中の颯馬に会いにきたことを後悔した。

「邪魔じゃないよ。

杏の顔見れて元気でた。

ありがとう、来てくれて」

颯馬は昔からいつだって、素直にストレートに想いを言葉にしてくれる。

だから私はいつだって甘えてしまう。

年下なのに颯馬のほうがはるかにしっかり者だ。

私はいつだって衝動的に行動して、彼に迷惑ばかりかけてきた。


それでも颯馬は笑って優しく包み込んでくれる。

じっと見つめられて慌てて颯馬に背を向ける。

「 急いできたからすっぴん…。
恥ずかしいから見ないで…」

キャップをさらに目深にかぶり、顔を隠すと背後からあっさり背の高い颯馬の手によって取り去られた。

「可愛いい。

隠さないでこっち向いてよ。

俺に会いに来てくれたんでしょ?

それじゃ来た意味ないじゃん。

充電させてよ、杏…」

伸ばされた手が後ろから髪をすくいそっと口付けた。

「杏の香りだ…会いたかった。

好きだよ、杏…

ごめん、約束したけどダメだ。

杏をフル充電させて」

後ろから颯馬に抱き締められて、瞬く間に甘い香りに満たされていく。

甘い、甘い、颯馬の匂い…。
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