あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
甘い香りを放つこの人が私は好きで堪らない。

「 杏、好きだよ」 

耳元で囁く颯馬に、素直に私も言葉を返す。

「 うん、私も好き…」

ぎゅっと抱きついて颯馬の体温を感じながらその胸に頬をすり付けるとくすりと笑い

「今日はやけに素直に甘えてくるね」

背中に回された手が背中を撫で、もう片方の手はぎゅっと私を抱き締める。

「杏…

年が明けたら一緒に住む?」

小さく腕の中で頷くと

「じゃあ、次に休みが取れたら部屋探しに行こう」

「うん…」

抱き締められた腕に力が込められた。


「でも、ごめん。…今週末は休みなんだけど杏と会えない。ごめん。
フランスでシェアハウスで一緒だった奴が帰国してくるんだ…。

一緒の店で修行してた向こうで出会った唯一の日本人なんだ。

空港に迎えに行って飯食う約束してて…」

「あっ…!
だっ大丈夫。私も仕事なの!

N社の創立記念のパーティーに上司と行かなくちゃいけなくて。

夕方から始まるから帰りも遅いと思う…」

後ろめたさから早口で週末の予定を颯馬に伝える。

顔を見て話すことができなくて、胸に顔を埋めたまま私もぎゅっとその腕に力をこめた。

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