シュガーレスでお願いします!

「あら、弁護士としてバリバリ働いている比呂さんがそんなこと言うなんて、なんだかおかしな話ね。ね、お父さん?」

「ふたりとも仕事が忙しいみたいだし、旅行中ぐらい羽を伸ばしてゆっくり休むといい。この機会にじっくり将来について考えてみてもいいんじゃないか?ほら、例えば子供のことだとか……」

「子供……ですか……?」

目をしばたたかせて、聞き直すとお義母さんが慌てて、私とお義父さんの間に割って入る。

「やだ、お父さんったら気が早いわよ……!!いいのよ、2人とも。気にしないでね」

気にするなと言われ、私は曖昧に笑うしかなかった。

(子供か……)

正直、子供のことなんて考えたことがなかった。

私にとっては結婚するってこと自体が、棚からぼた餅のような奇跡みたいなものだ。

その上、子供なんて想像もつかない。

……慶太はどう思っているんだろう。

隣に視線をやると、慶太は気にも留めず無表情で皿に乗せられた料理を口に運んでいたのだった。

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