シュガーレスでお願いします!

「寝不足かな?」

「すみません。気をつけます」

自分の不始末を謝罪すると、阿久津先生はハッハッハと大きく笑い飛ばした。

「大丈夫だよ~。俺なんていつも寝不足だから、気にすることないよ」

一番上の長男。阿久津光洋(あくつこうよう)先生。趣味がサーフィンという肉体派のせいか、38歳という年齢よりも随分と若く見える。

小麦色に焼けた肌に真っ白な歯がキラリと光る明るい性格はクライアントはもちろんのこと奥寺法律事務所の面々からも絶大な支持を受けている。

主に企業法務を担当しており、弁護士歴は10年以上のベテランだ。

阿久津先生に欠伸を見られてしまった私は、眠気覚ましにコーヒーのお代わりを注ぎに、給湯室に向かった。

マグカップにコーヒーのフィルターをセットし、ドリップされるのを待ちながら、はあっと大きなため息をつく。

仕事中にあんなに間抜けな欠伸をするなんて、とんだ失態である。

……それもこれもすべて、慶太がいけない。

< 21 / 215 >

この作品をシェア

pagetop