シュガーレスでお願いします!

「私の夫がパティシエだと……そんなに変かな?」

「いいえっ!!ちょっと驚いただけです!!」

君島さんは私の不興を買うまいと、慌てて頭を横に振った。

(普通は驚くよな)

自分がまさかパティシエと結婚するだなんて、マーライオンと化した当時の私が聞いたらもう一度卒倒すること間違いなしだ。

パティシエにとって、私のようなシュガーレス女は天敵だ。

まさに水と油。

いや、この場合は塩と砂糖か?

良さそうな言い回しが見つからず、なんとなくモヤモヤしてくる。

「まあ、気になるわよね?あの比呂先生の旦那さんですもの」

「香子先生」

香子先生も人が悪いんだから。

君島さんが驚くと分かっていて、わざと私の話題を振ったくせに。

手で口元を押さえているが、ほくそ笑んでいることがまったく隠せていませんから。

黙っていれば年齢不詳の美魔女で通るものを、40歳も半ばを過ぎても治らないひとをおちょくる悪癖さえなければと思ったのは一度や二度のことではない。三つ子の魂百までとはこのことだ。

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