蝉のなく頃に
「え?電話じゃないの?」

船瀬はそんな私の行動に疑問に思ったようだ

「うん、大丈夫。今は出たくないんだ」

「…ふーん。あ、ねぇねぇそういえば
話したいことってなぁに?」

「話したいこと?」

「昨日のラインで話したいことがあるって」

「…あー、……うん」

「なになに?」

船瀬はニヤニヤしながら体を前のめりにして
聞いてきた

私は相沢の話をした

これまでの相沢の事

昨日の相沢の言葉

そして、今の私の中途半端な気持ち

「…うーん、なるほどねー」

船瀬は私の話を真面目に聞いてくれて
真面目に考えてくれた

「でもさ、もしその相沢って人が本気だったら
今の夏歩の行動ってすごく嫌な感じだよね」

「…まぁ、それは……」

「電話くらい出ても良いんじゃない?」

確かに、本気だとしたら失礼な行動だと思う
だけど…

「…傷つきたくない?(笑)」

そう。相沢に恋愛感情はない。だけど
1度告白されて、どこかで舞い上がってる自分を
突き落とすのが怖い
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