蝉のなく頃に
だから、もし冗談だったとしたら
自分が傷つかないように
自分に言い聞かせてから話をしたい

「本気だったら付き合うの?」

「え!?」

「確かに傷つきたくないってのも
分からなくはないけどさ
相手が本気だった時の事を考えたら
自分の事ばっかり考えててズルいじゃん。
考えさせてって言ったんでしょ?
ちゃんと考えなきゃー。
そりゃ、嘘でしたーって言われたら
そりゃあもうショックだろうけどさ
真面目に考えて答え出しとかなきゃ。
もう、中学生とか高校生とか
学生じゃないんだからさぁ」

分かってるよ…

分かってるけど、電話には出れない…。

明日会って、顔見て話したい。

「とりあえず、その浮かれた気持ちのままで
1回付き合うか、付き合わないか
本気で考えてみなよ」

会計でレジに向かうと船瀬は財布から
大きいお札を取り出した

「え、本当に奢り?いいよ自分の分は出すよ」

レジと船瀬の間に割って入ろうとしたが
船瀬はいいよとレジを強引に済ませた

お店を出てお礼を言うと

「前祝いだよ!いい報告待ってるから」

と船瀬はにこやかに微笑んで私の肩を叩いた
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