君への愛は嘘で紡ぐ
二人の反応が怖くて、目が開けられない。


「笠木って……笠木玲生?」
「円香ちゃん、本当に?」


黙って頷く。


驚かれるのはわかっていた。
あとは、反対されるだろうか。


「笠木ね……なんで?」


この質問も、覚悟のうちだ。


「笠木さんは、私に寂しいという感情を思い出させてくれました。笠木さんの笑顔を思い浮かべるだけで、顔がにやけてしまうのです」


あの日の笠木さんの笑顔が、ずっと頭から離れなくて。
だけど、それは私の心を温もりで満たしてくれた。
穏やかな気持ちになった。


「これが好きという気持ちなのかわかりませんでしたが、由実さんと話して、初めて実感したというか……」


瑞希さんの拘束から解放されていても机の上に出していた手に、由実さんが手を重ねてきた。


「私が知らない一面を見たんだね。勇気を出して話してくれて、ありがとう」


顔を上げ、由実さんの顔を見つめる。


否定、されなかった。


それだけのことなのに、自分でも信じられないくらい、嬉しかった。


「たしかに、この一週間、笠木見かけないね。悪いことしてたりして」
「ちょっと、瑞希!」


瑞希さんの笠木さんに対する印象は変わらないらしい。
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