君への愛は嘘で紡ぐ
各休み時間、笠木さんに話を聞きたかったのに、笠木さんを見つけられずに話せずにいた。


放課後になり、校舎を歩き回って笠木さんを探す。


「転校してきて結構経つのに、また迷子か?」


頭上から笠木さんの声がし、当たりを見渡す。
笠木さんはどこにもいない。


だけど、そこは笠木さんと初めて出会った場所で、まさかと思い木の下に移動する。


「そこにいらしたのですね」
「なんだ、俺を探してたのか」


笠木さんに手で少し離れるよう言われ、何歩か後ろに下がる。
私がいた場所に笠木さんが降りてきた。


「朝は俺を待ってて、放課後は俺を探して……て、お嬢様ってのは暇なのか?」


意地悪を言われているはずなのに、目の前に笠木さんがいることが嬉しくて、全く気にならなかった。


「笠木さんにお尋ねしたいことがあるのです」
「あー……汐里さんに聞いた。俺が病気かってやつだろ?」


はっきり聞くことも、曖昧に聞くことも出来ないと思っていたところ、笠木さんが先に言ってくれた。


私は頷いて、変に緊張しながらその答えを待つ。


「……違うよ」


その返答に喜びを覚えたが、笠木さんの表情があまりに切なそうで、それが信じられなかった。
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