結婚してみませんか?
ピンポーン…

呼び鈴を鳴らすと『どうぞ』と母の声がしたので、合鍵を使って部屋の中へ入る。

「…想定外の人物だわ。」

リビングへ行くと、母がソファーに足を組んで座っていた。そして、相沢さんを見て呟く。

「どうも編集長…いやお義母様。本日はお時間を頂きありがとうございます。」

相沢さんは深々と丁寧にお辞儀をする。

「知ってると思うけど、相沢 智章さんです。」

私は取り敢えず紹介する。

「えぇ、よく知ってるわ。まさか恋の結婚相手が相沢(あんた)とは…。」

母はソファーから立ち上がり、私と相沢さんの前に来た。何だか母と相沢さんは戦闘態勢に入ったように見える。

「ねぇ、いつ恋と知り合ったのかしら?」

「…数ヶ月前くらいですかね。」

「知り合って数ヶ月?それならまだ結婚は早いんじゃないかしら?」

「確かに早いかもしれませんが、恋ちゃんとずっと一緒に居たいと思いました。俺の結婚相手は恋ちゃんしか考えられないです。」

「まさか…恋が私の娘って知って手を出したんじゃないわよね?」

「いやだなぁ。出会った時は恋ちゃんのお母様が編集長とは思いもよらなかったし、それに…まだ恋ちゃんに手は出してないですよ。」

「手を出す意味が違うしそんな生々しい報告は要らんわ!っていうか今後一切、私の可愛い娘に指1本触れるなぁ。」

「そんな無理っす。どうやって子供作るんですか?」

「コウノトリに運んでもらいなさい!」

…。
何か話がずれてきているのは気のせい?もしかして、会社でも2人はこんな感じなのかな。

取り敢えず、話に入れない私は勝手にキッチンを借りて3人分のお茶を入れた。

< 18 / 58 >

この作品をシェア

pagetop