揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




電気もつけない暗い楽屋で
ソファーの上で重なり合う。
上乗りしながらの激しいキス。
ギシギシ音を立てて揺れる身体。
吐息が荒くなっていく。
快楽が波寄せる。




「レイ……さん…!」




甘い声で私を呼んでくれる。
攻める私に顔が歪んだら……
もっと攻めたくなる。




「駿…くん……ちゃんと名前で呼んで……」




心地良いトーンだから、最中は名前で呼んでほしくなる。




「……美麗っ………!」




そう呼ばせた男は上川さん以来かも。
絶頂を迎える時も果てる瞬間も、
駿くんにはそう呼ばれたい。
止まらなくなって一緒に………




ていうか、最中じゃなくてもそう呼ばせるよう練習中。
恥ずかしがってすぐ「レイさん」になっちゃうところが可愛くて仕方ないんだけど。
6つも下だとそうなっちゃうのかな。




脱がされた下着を身に着けようとしても後ろから抱き寄せられて阻止してくる。
また触れられて反応しちゃう。




「ちょ……っ、駿くん…!」




首筋を這われたら声が漏れる………




「まだ着ちゃダメ……まだ美麗が欲しいよ……」




ウソ………今終わったとこだよね?
次の打ち合わせまで時間はあるけど、2回してたら結構ギリギリ…?
しかも2回目だと絶対長くなるでしょ?
だって出したとこだもん。





長いキスの後、ゆっくり倒されて駿くんが上になる。
暗闇でもはっきりわかるのは、まだ欲情にまみれた瞳だということ。
本当……若いって素晴らしい。
疲れなんて見せないんだね。




「激しくするけど良い……?今度は俺が攻める番だよ?」




こんなこと言われたら拒めない。
キスのお返しから始まった私たちの関係は、Hの時もそうなるみたいで互いにやり返してる。




手を伸ばし抱き寄せ受け入れた。
激しい駿くんに酔いしれて何度も意識を手放す……
そんな彼に錯覚してしまいそうで引き際をどこかで考えていた。




本気になっても報われない気がしてたから。
互いの足を引っ張ってしまうだけだと言い聞かせて。
もう逢うのはよそう、と決めて別れるのに。




目の前に現れたキミはあまりにも欲情に溢れていて、それがとても美しく見えて……私を虜にする。
再び欲しくなる。
私を抑えきれなくさせる。
脳も身体も麻痺してキミを味わってしまうの。




どうしたものか。
この私が自分を止めれないなんて有り得ない。
相性が良すぎる………
自ら溺れに行ってしまう………




止める術がないの…………






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