揺れる被写体〜もっと強く愛して〜



他のメンバーと楽しそうに話してるのが鼻について仕方ないが。
今までのジャケット写真や色んな記事を一応は勉強してきてるみたいだけど「全部取っ払っていいですか?」と申し出てきた。




一瞬間があいて
「最初のインスピレーションで感じたままを表現したくて……あの、皆さんにお願いなんですけど、すっごいエロ路線で攻めてみません?」とニッコリ笑った。




は……!?
俺らロックバンドだぞ?
ヴィジュアルバンドじゃねぇからな!




「俺らにエロなんて……なぁ?」




自信のない他のメンバーに対して
手、喉仏、涙ホクロ…とそれぞれ色気があると豪語してる。
最後に俺を見て………
「優吾さんは、唇……かな」と言った。




カァーっと紅くなったのをメンバーが見逃さなかった。
俺のこと見下してたんじゃなかったのかよ。
その目で言うのとか反則だろ。
不意打ち過ぎて油断してた。




「……やる」




「えっ…!?」




渋ってる様子のメンバーを抑え俺は二つ返事でOKを出した。




「今回のツアーはいつもよりデカイ箱で歌うんだ。同じことやってたって意味ねぇだろ、俺たちだって変化していくタイミングなのかも知れねぇ」




「お、おう……優吾がそう言うんならやろうぜ」




俺は立ち上がりレイの前に立った。




「たった今からお前はGLEAMSの専属カメラマンだ。コンセプトは全て任せる。エロでも何でも持って来いよ。こちら側の要件は俺らの魅力を最大限に活かしてもらうことだけだ」




まずはお手並み拝見といくぜ。
どんな腕を持ってるのかはまだ謎だけど、この目を俺だけのモノにしたいと思った。
手を前に出したら立ち上がり握り返してくれる。




「光栄です、頑張ります」と微笑んだ。
これが俺たちの最初の出逢い。
生まれて初めて手こずった女……
俺になびかなかった女……








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