揺れる被写体〜もっと強く愛して〜




「まだ若いが腕は確かだぞ」と小声で俺たちに言うマネージャーのことはさておき、早速打ち合わせに入る。
タブレットを駆使する華奢で細い指先。
他のメンバーはコンセプトにしたいこと色んな意見言ってるけど俺はただこの女に見惚れていたんだ。




「優吾はどう思う?」




マネージャーがそう声をかけてきたけど。
バチッと目が合った瞳をジッと見つめてテーブルに手を置いた。




「そんなことよりレイちゃん、俺とデートしよっか?」




「おい、優吾……」




「まーた始まっちゃったよ……」




うるせぇ、
さっさとこの女落として抜きてぇだけだよ。
それよりずっと目をそらさないで見据えてる態度に好印象だぜ。
早速俺に惚れたか?




シーンと静まり返る室内。
「いや、真に受けないでね?」とフォローするマネージャー。
フッと笑った気がしたからこっちも見据え返した。




「……ダッサ。そうやって食い気味に来る人に限って早漏だったりするんですよね」




顔色ひとつ変えないで放ったセリフに全員が唖然。
「ブハハハッ…!」と爆笑されてイラッとくる。
そ、早漏だと……!?
初めて女に言われたわ………



「マジ最高だわ、カメラマンは絶対彼女に決定〜!」




勝手に決めんな!




「絶対デートしろよ、テメェ…」




よくも恥かかせてくれたな、
絶っ対落としてやる…!!
ガルルル…!




「デートですか?うーん……じゃあ次に出る新曲がミリオン達成したら考えます」




「はっ!?お前、それでいいんだな?」




今じゃ飛ぶ鳥を落とす勢いの俺たちにミリオンなんか余裕だぜ!
「ねー?楽しみですね」とか余裕見せやがって。
ヒィヒィ言わせてやる!!





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