想われて・・・オフィスで始まるSecret Lovestory
壁の一面をガラス張りにしたギャラリーには、陽光がさらさらと降り注いでいる。その向こうに広がるのは、水平線が続く大海原だ。
芸術と自然が融合した空間の中で、わたしたちはしばし時間を忘れて五感で美にひたった。

館内にあるカフェテラスでゆっくりとランチとお茶を楽しみながら、感想を語り合った。
一瞬一瞬が楽しくて、そして愛おしい時間だった。

しめくくりは夕陽を背負った海をながめながらのドライブだ。
思わずため息がもれた。
「きれいな夕陽ですね。それに、あんなに素敵な美術館、初めてでした」

「楽しんでもらえたなら、よかった」

「一日中美しいものを見ていると、本当に満たされた気持ちになるんですね」
美しいものを生み出すためには、美しいものに触れる必要がある。佐倉さんの言うことが分かる気がした。

「俺も楽しかった。美織と一緒だったし」

「わたしもです」
素直に気持ちを口にする。

「今までひとりでじっくり観てたから、想ったことを話し合う相手がいるのが新鮮で」
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