切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
11、悪い虫除け
午後七時前、ノワールで客にコーヒーを淹れていたら、ズボンのポケットに入れておいたスマホがブルブル震えた。
「どうぞ、ごゆっくり」
カウンターの客にコーヒーを出すと、ポケットからスマホを取り出した。
多分美月からだろう。
仕事が終わったか。
画面を見ればやはり彼女からのライン。
だが、それは迎えを頼む文面ではなかった。
【玲司さん、すみません。急に同期の子と食べに行くことになって、ちょっと帰るの遅くなります。また帰る時に連絡します】
まあ、たまには同僚との付き合いもあるだろう。
だが、酒のことはもう一度注意しておかないとな。
【了解。お酒は飲まないようにね。美月は酔うと寝ちゃうから。今はどこにいるの?】
メッセージを打つと、彼女からすぐに返事が来た。
【会社近くの居酒屋です】
居酒屋ね。
飲む相手によっては無理矢理飲まされないか、ちょっと心配だ。かと言って、"行くな"とは言えない。

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