切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「ちょっと待って。もうすぐ水嶋が迎えに来るから一緒に行こう」
……彼と一緒に出勤?
「でも……社長になる人と出勤って……他の社員に見られたらいろいろ噂されるよ。だから、先に行くね」
ニコッとしてそう言い返せば、彼はどこか企み顔で微笑んだ。
「それなら、ちゃんとした関係ならいいんだよね?」
「え?」
ポカンとする私に彼は「行ってらっしゃい」とにこやかに笑って私の手を離す。
さっきのどういう意味で言ったんだろう?
首を傾げながら出勤したら、総務のオフィスの前に常務がいて、足を止めた。
また何か言われるのだろうか?
身構えていたら、「ちょっとこっち」とまた常務に腕を引かれ、昨日のミィーティングルームに連れて行かれた。
部屋の入り口でビクビクしていたら、常務が突然私に頭を下げる。
「昨日は酷いことを言って申し訳なかった」
その姿を見て唖然とする私。
これは……一体?
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