切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
話せるようになるまでずっと抱いていると、急に彼女は取り乱した様子で俺から離れようとする。
『落ち着いた? 靴も履いてないみたいだけど、なにがあったか話せる?』
優しく尋ねれば、彼女は俺の目を見てコクッとした。
『家に帰って……ソファでうとうとしていたら……母の愛人に襲われそうになって……』
その話を聞いて怒りが込み上げてきた。
未遂に終わったのはよかったが、たまたま運が良かっただけ。
『もう大丈夫だよ。怖かったね』
そっと美月ちゃんの頭を撫でたら、彼女はワッと泣き出した。
大粒の涙がポタポタ彼女の目から溢れ落ち、俺はその華奢な身体を包み込むように抱き締めた。
ショックが大きかったに違いない。
しばらくして泣き止んだと思ったら、彼女は俺に身を預けて眠っていた。
静かに美月ちゃんを抱き上げて店に運ぶと、店の戸締まりを素早く済ませて俺の秘書に電話をかけた。
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