切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
『水嶋、ある女子高生を俺が保護している。警察とその子の保護者に連絡を取ってくれ。女の子の身元は後でメールする』
水嶋は物静かだが、とても有能な男で、仕事も早い。
《はい》と彼が返事をすると、すぐに電話を切って美月ちゃんの身元に関する情報をメールで送った。
それからタクシーを呼んで、彼女を同じ銀座にある俺の自宅マンションに連れ帰る。
美月ちゃんはまだ眠ったまま。
俺の店に逃げて来たということは、彼女には他に頼れる人間がいなかったのだろう。
美月ちゃんを救ってやりたい。
他人事には思えなかった。
こんな可愛い子を傷つけるような真似をして……。
目の前に美月ちゃんを襲った相手がいたら、ボコボコにしてやるのにな。
美月ちゃんをゲストルームのベッドに運んで寝かせる。
その時、彼女の両手首に痣があるのに気づいた。
指の跡がくっきりついている。
多分、襲われた時に腕を強く掴まれたのだろう。
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