切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
「さっきの女性社員と知り合いなんですか?」
……なぜ急にそんなことを聞いてくる?
美月ちゃんと大した会話もしていないのに不思議に思った。
「いや。なんで?」
質問の意図がわからず聞き返せば、弟は小さく頭を振った。
「……いえ、なんでもないです」
「大丈夫。いくら美人でも会社で女は口説かないさ」
茶化すように言って、来たエレベーターに乗る。
美月ちゃんと同居していることは斗真に言ったら、いろいろうるさく言ってくるだろう。
それに、弟が彼女に何か言わないとも限らない。
「兄さんの場合は女が寄って来るでしょう? 俺は心配してるんですよ」
「いらぬ心配だ。俺のことよりもっと自分の心配をしろよ。お前は俺に気を遣いすぎだ。そのうち晴人にブラコンってからかわれるぞ」
ハハッと笑って斗真をからかえば、弟は面白くなさそうに返した。
「すでに言われてますよ」
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