彼女になれない彼女
平良が私を見る。
手がゆっくり私の頭に回された。
そしてそっと引き寄せられる。

3度目のキス。

どうしよう。
さっきの箱が頭から離れない。

今日のキスは少し長め。

平良の手が後頭部から肩に移る。
そしてそのままベッドの方に・・・

え?待って?

私は肩を押されるようにして、ベッドの上に倒された。
平良が私の上にまたがる。

そしてまた覆い被さるようにキスをしてきた。

もしかしてこれって・・・

私の気持ちが届いたのか、今度は突然ふわっと平良の顔が離れる。
口が開いた。

「沙和さ、誰かと付き合ってたことあった?」

超至近距離。

何突然・・・

あるわけないじゃん

「ないよ?」
「そっか。」

平良の体が離れる。

「ああ、ビックリした・・・」

つい心の声が漏れてしまった。

「今、あの箱の中身使うのかと思った・・・」

私の言葉に、平良が少しムキになる。

「使うわけねえよ!」
「だって今、そんな雰囲気になったじゃん。」
「ちげえよ。」

何が違うの?
平良が立ち上がる。

「飯行くか。」

え?
私は上体を起こす。

平良はフラフラと部屋を出て行こうとする。

「ちょっと待って。」

私も急いで平良を追いかける。

平良は階段を降りて行く。

相変わらず平良は何を考えてるのか、よく分からない。

「ねえ、平良、もしかして私に欲情した?」

後ろからイタズラっぽく聞いてみる。

「うるせえよ。」

平良は振り向かない。

「仕方ないなー。いつか気が向いたら、アレ、使わせてあげる。」
「はいはい。」

平良の面倒くさそうな声。

まあ、これが「いつも通り」の私たちかもしれない。

「いつも通り」の状態になってから、うちの店にいく。
もしかしたら、これからはこういうパターンになるのかも。
場合によって。

ふとそんなことを思う。

店の前で一度立ち止まる。
平良と目を合わせる。

「よし。」
平良が勢いよくドアを開ける。

「こんばんはー!」

いつも通りの平良の声が店に響いた。
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