彼女になれない彼女
初デート
土曜日のお昼どき。
ファーストフード店は家族連れも多くてほぼ満席だ。

映画を観終わった私たちはファーストフード店にいた。

平良はレッドホットバーガーを、私はてりやきバーガーを食べている。

「かっれえ〜〜」

平良は汗をかきながらコーラを飲む。

「そんな辛いの注文するからだよ。」
「好きなんだよ、辛いのが。」

やせ我慢にしか見えないけど、平良はまた頬張った。

「ねえ、平良。」

続けてコーラを飲む平良に話しかける。
目だけで「ん?」と言ってきた。

「私、平良に言ってないことがあるんだけど。」

コーラでレッドホットバーガーを流し込んだ平良が「何?」と言う。

「うん。実は、今日の映画、最初全然興味なかった。」
「うそ!?」
「うん。ほんと。」

私の告白に平良は唖然として背もたれに寄りかかる。

「じゃあ、最初に言ってよ。」
「でも、すごく面白かったよ。」
「ほんとに?」
「ほんと。」

平良に少し笑顔が戻る。

「あともう一つあるんだけど・・・」

すぐ平良はまた嫌な顔をする。
何を予感してるんだろう。

「何。」

私はジンジャーエールで口の中をさっぱりさせる。

平良はどんな顔をするだろうか。

私がずっと言えずにいたことを知ったら・・・

言わなきゃ。

「私、ずっと、平良のことが好きだったよ。小5の時から。」

私は勇気を出して告白した。

平良はというと・・・

また唖然として開いた口が塞がらない様子だ。

その表情を見て、私は思わず笑ってしまう。

こんな顔をするんだ。



夏休みがもうすぐ終わろうとしている。

私たちの交際が正式に始まろうとしている。
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