期間限定『ウソ恋ごっこ』
「近藤先輩、助かりました。さすが折原先輩の取り扱いに関してはプロですね」


あたしがお礼を言うと、先輩は本気で嫌そうな顔をした。


「うれしくない称賛はやめてくれ。……とりあえず、これでしばらくは折原がチビを攻撃する心配はなさそうだな」


先輩がそう言うと、真央ちゃんもうなずいた。


「そうね。今後は美空との料理対決に意識が集中するだろうから」


「面倒なことになったな」


「そう? 負けたら負けたでいいじゃない。お弁当係を辞退するいい口実にもなるし」


「問題はそこじゃないんだ。チビの名誉とプライドの問題なんだよ」


ふたりの会話を聞いて、あたしは本来の大問題に立ち返った。


どうしよう。べつに折原先輩に勝ちたいなんて大それたことは思ってないけど、大勢の前で叩きのめされて恥をさらすのはだけは嫌だ。
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