期間限定『ウソ恋ごっこ』
それよりもっともっと前に戻って、いっそ白鳥学園に入学しなければよかったんだろうか。


「白鳥学園に入学しなければ、近藤先輩や伊勢谷先輩に出会うこともなかったし、こんな苦しい思いをすることもなかったんだよね」


「あのさ、美空」


真央ちゃんがあたしの目を覗き込むようにして、ほんの少しだけ厳しさを込めた声で聞いてきた。


「出会わなければよかったってことは、近藤先輩を好きにならなければよかったって思ってるの?」


あたしは言葉に詰まって、真央ちゃんを見た。


でもあまりに真っ直ぐなその目が、今のあたしの弱った心には強すぎて、すぐに下を向いてしまった。


「……わから、ないよ」


あたしはこれから、こんなふうに毎日を過ごしていくのかな?


ああすればよかった。こうすればよかったって、生気の抜けた人形みたいにずっと後悔しながら、重苦しい日々を過ごしていくのかな。


どちらにせよ、あたしにできることは、なにもない。


加害者のあたしがなにかをすればするほど、被害者の先輩たちを傷つけて追い詰めるだけだ。


やっぱりあたしは無力で、無能で、ちっぽけな人間なんだ……。


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