高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
「それは…」

周晴は目を伏せた。

「まさか、避けられてるの?」

俺の質問に、周晴はコクリと首を縦に振ってうなずいた。

「何度か会社を訪ねたんだけど、どうも避けられているんだ…」

「ああ、それで俺の家を訪ねてきたって言う訳ね」

俺は周晴の前にコーヒーが入ったカップを置いた。

「輝明、こう言うのはお前にしか頼めないと思うんだ。

親父は俺を誰かと結婚させようと躍起になって耳を貸してくれないのは間違いないし」

「まあ、できないこともないけど…」

「もう希里恵を手放したくないんだ…!」

彼女がいなくなってから5年近くも思い続けていたその熱量に、俺は戸惑うことしかできなかった。

だけど、俺ももし周晴と同じ立場だったら同じことをするんだろうな。

そう思いながら、
「わかった」

俺は返事をした。
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